【Vol.13 テロワール】
このワインはテロワールを良く表現してる・・・というような解説を見かけられたことがあると思います。 テロワールとは一言でいえばブドウが育てられた土地の個性です。 その土地の土壌や地形、気候などの自然条件が、ブドウすなわちワインの味わい・香りに影響を与えます。
テロワールの要素
テロワールの要素の一つは畑の土壌で、粒子の大きさと地質の違いです。
粒子のサイズが小さい粘土質なのか、粒子が大きい砂利質なのかで水はけの良さが変わります。
地質は花崗岩、火山岩、泥灰岩、石灰岩、シストを代表とする変成岩といった組成の違いと、混入している堆積した有機物などがワインの味わいに影響します。
地形はその土地の標高、平地なのか斜面なのか、斜面なら南向きと北向きといった方角です。
その畑の日照量や気温・湿度、風通し、水はけを左右します。
気候は降水量、気温とその変化(寒暖差)、日照量、風速などです。
同じ畑であっても栽培された年(ヴィンテージ)によって気候は異なり、ブドウの出来具合いに大きく関わります。
テロワールによる格付け
特にヨーロッパではテロワールが重要視されていて、畑ごとにそのランク付けがあります。
フランスでは特級畑は「グラン・クリュ(Grand Cru)」、一級畑は「プルミエ・クリュ(Premier Cru / 1er Cru)」と呼ばれて、そこで収穫されたブドウで造られるワインは別格の扱いを受けます。
ワインのランクとしてはその次に村名の入ったワイン、ブルゴーニュなど大きな地方名の入ったワインへと続きます。
ただし生産者の技術によっても味わいは変わってくるし、その年の気候も影響するので、畑だけですべてが決まるものではありません。
品種による違い
ブドウには品種によってテロワールの影響を受けやすいもの、受けにくいものがあります。
一般的に影響を受けやすいのはピノ・ノワール、リースリング、シャルドネと言われています。
ボルドーで多く作られるカベルネ・ソーヴィニョンやメルローは影響されにくい品種です。
ピノ・ノワールとシャルドネというとブルゴーニュを思い浮かべる方も多いと思います。
テロワールの影響を受けやすい品種を栽培しているが故に、ブルゴーニュは土壌が小さな面積で複雑に区切られていて、隣り合った畑でさえ面白いように異なる味わいのワインが生まれます。
ひよこ豆味のワイン
以前面白い赤ワインに出会いました。
抜栓して一週間くらい置いておくと、ひよこ豆の味わいがするというのです。
そんなまさかと思いましたが、飲んでみると本当にひよこ豆でした。
抜栓したときはそんな味わいは全く感じられないのに不思議と思って調べたら、そのワイナリーではひよこ豆も栽培していることが分かりました。
土壌を通してブドウの樹が隣に植えられたひよこ豆の成分を吸収したのでしょうか。
科学的にはあり得ない気がしますが。
ブドウの樹そしてワインは不思議で興味が尽きません。